間ノ岳・農鳥岳

3189m・3025m
2001年9月22〜23日 歩行時間  1日目 約 5時間30分
        2日目 約10時間
広河原 → 崩壊地 → 二 俣 → 上二俣 → 八本歯のコル → 分岐点 → 北岳山荘
7:30    8:30着   9:20  10:40着   12:20着      13:00   13:40着
        8:45発          11:00発   12:40発
北岳山荘→間ノ岳→農鳥小屋→農鳥岳→農鳥小屋→間ノ岳→北岳山荘→八本歯のコル→二 又→広河原
 5:30  6:40着 7:30着 9:00着 10:20着 12:00  13:00着  15:00   16:00  17:30着
       6:50発  7:45発 9:20発 10:30発       14::00発            



●大樺沢ルートで3000mの稜線へ
  夏山の登り収めに、展望を求めて南アルプスの間ノ岳から農鳥岳の稜線を歩いてきた。早朝3時頃に東京の自宅を出発、中央高速を甲府昭和で降り、南アルプス林道を走って広河原に6時半頃着いたのだが、駐車場は既にほぼ満杯。何とか一番奥の方に潜り込んだが、もう少し到着が遅かったら路駐になる処であった。さすがは人気ルートの北岳である。
 到着後、手早く荷物をまとめて歩き始めたのだが、北沢峠へのゲート付近まで歩いてから、フィルムを忘れたことに気が付いた。ザックを置いて車まで取りに戻ったのだが、久し振りの縦走山行の為か要領が悪い。この日は他にも「コースガイドのコピー」や「ロールペーパー」を取りに、何度もゲートと車の間を往復する羽目になってしまった。結局、ゲートを越えて野呂川に架かる吊橋を渡ったのは7時30分。縦走山行の感覚が鈍っている様で、足前が鈍っていないか心配になる。 
 広河原から北岳へ至るルートは、南アルプスの中では比較的にアプローチが便利な人気のコースで、登山者の数も多く、御池小屋へのコースとの分岐迄は所々で渋滞気味だったが、さすがはアルプス、山慣れたパーテイーが多く最後尾には大抵ベテランが歩いている。距離が詰まると次々と道を譲られ、どんどん前を歩くパーティーを追い抜いていけたが、道を譲ってもらったのに、すぐ休んでしまっては申し訳ないと、小休止するタイミングがなかなか掴めない。右股コースと別れる二又に、コースタイムより随分早く着いてしまった。

満杯の広河原駐車場


野呂川を渡る


樹林帯の中を進む

北岳バットレスを見上げる


登山道は左の草地
間違って写真中央の沢に入り込む

大樺沢(二又付近)


梯子を昇ってコルヘ突上げる


コルから見た間ノ岳方面


北岳山荘の幕営地
●八本歯のコルを経由して北岳山荘へ
  二又まで随分早く着いた事から、「早く幕営地に着いて冷たいビールを飲みたいな。」と思ったのがいけなかったのか、二又から15分程登ったところで道を間違えてしまった。上部中央の写真にある沢筋を上ってしまったのである。次第に傾斜がきつくなり視線が低くなる中、前を歩く10人程のパーティーに疑いもせずに付いていってしまったのである。間違える人が多いせいか、踏み跡もしっかりしていた。5分程歩いたからであろうか、ふと水の流れの無い事に気がついた。本来のコース「左股ルート」は、かなり上部まで大樺沢の流れがある筈だ。コースの先を見上げると、歩いている沢筋は北岳の岩肌に真っ直ぐ続いている。前を歩くパーティーも、ルートの誤りに気がついたのか地図を広げている。大樺沢本流まで戻ってみると、果たして八本歯に続く登山道が、間違えて入り込んだ沢筋のデブリを廻りこんで草地に続いていた。約15のロスタイムだ。

 上二又で握飯をほうばりカロリー補給。ここから八本歯のコルに向けて、傾斜を増す登山道を一歩一歩登る。右手を見上げると、色づき始めたナナカマドの向こうに、北岳バットレスの岩肌が屹立している。「コル迄40分」の標識がある辺りからは、登山道は前に進むというより真上にあがって行く感じで、梯子の連続となった。一本の梯子を登っては小休止、呼吸を整えてまた次の梯子に手をかける。久しぶりにザックを重く感じた。上二又から約80分、何とか八本歯のコルにたどり着く。ここから北岳に続く岩塊斜面を20分程上り、トラバース道で山頂を捲いて北岳山荘に着いた時には二時近くになっていた。

 北岳山荘は南アルプスでは最大級の山小屋で、小屋の周りには結構広い幕営地が設定されている。少しでも風を避けようとハイマツに半分囲まれた場所を確保、テントを設営する。小屋で驚いたのはトイレが新しくなった事で、杉チップを利用したバイオトイレは個室が16もあり、これなら朝のトイレ待ち行列も無いだろう。維持管理が大変でとは思うが、こんな気持ちの良いトイレが他の山にも広がらないものであろうか。 

3000m の稜線からの日の出

朝日に染まる間ノ岳

北岳を振り返る
●3000mの稜線を歩き「間ノ岳」へ

 2日目の朝3時半頃、浅い眠りから目が覚める。テントから顔を出すと満天の星空が広がっていて、今日の良い天気を約束していた。テントの中でラーメンをすすり、ザックに荷物を詰込む。5時近くなると東の空が赤紫色に染まり始め、御来光を見ようと小屋やテントから出て来た人達で、幕営場は結構にぎやかになった。日の出を待たずに5時30分に歩き始めると、程なく東の地平線に陽が顔を出し始め、周囲の山肌を染め始めた。正面の行く手に見える「間ノ岳」がエンジ色に染まり、とても美しい。

 北岳山荘からゴツゴツした岩斜面を登った最初のピークは「中白根岳」。普通なら一服して展望を楽しむのだが、とにかく寒い。体を動かしていないと凍えてしまいそうで、そのまま通過する。間ノ岳へ向かう行程は3000m級の稜線歩きで、展望の良いことこの上なかった。夏山最盛期の7〜8月は空気に水蒸気が多く、遠くの山景色が霞んで見えるのだが、9月後半のこの時期は空気が澄む様で、遥か彼方の山並みまでクッキリ見渡すことが出来るのが嬉しい。

 間ノ岳への登山道は稜線の西側に付けられた部分が多く、仙丈岳から塩見岳を経て赤石に至る稜線を見ながら、どんどん距離を稼ぐ。それにしたも図体の大きい山だ。3000mを越す尾根筋が幾筋も集まって突き上げたピークが「間ノ岳」になっている。北岳山荘を出発して1時間10分、間ノ岳山頂に到着した。山頂は「ピーク」と言うより「巨大な丘」と言った感じで、とても広々としている。日本の3000m峰で、これほど山頂が広々とした山は他に無いのではないだろうか。行く手には、「あずまや」の様な形をした農鳥岳が下のほうに見える。農鳥岳も3000mを越すピークなのだが、間ノ岳から見ると随分小兵に見えるのが可笑しい。

中白根山から間ノ岳へ


間ノ岳山頂


間ノ岳山頂より農鳥方面

西農鳥岳から間ノ岳


農鳥岳


間ノ岳からの下りで雷鳥に出遭う

●農鳥岳へ
 間ノ岳と農鳥岳の標高差は150m程度でしかないが、登山道は3180m の間ノ岳山頂から農鳥小屋のある2813m までくだり、再び3050mの西農鳥岳に登り返さなければならない。間ノ岳から農鳥岳は直ぐそばに見えるのだが、山体が大きく近づくのに時間がかかる。間ノ岳からの下り、雷鳥に出遭った。良く見ると全部で4匹。何時も雷鳥と出遭う時はガスの多い時であったが、今日は快晴。これから天気が崩れるとも思えない。登山者が危害を加えなくなって人が雷鳥の天敵で無くなり、登山道の近くがむしろ安全なのかもしれないと思ったりした。
 
 間ノ岳から約1時間の下りで農鳥小屋に到着。登山者が出発した後の小屋は実に静かだ。小屋番が布団を干しながら、今日の夕食に使うのだろうか、泥付きの大根を洗っていた。小屋から農鳥岳の最高点「西農鳥岳」までは、岩稜帯を一気に登る。小屋側から見て山の左側を回りこむと一旦平坦なピークに到着する。ここが「西農鳥岳」かと思ったが、最高地点はここから東へ100m ほど行った地点にあった。背の低い標識が刺さっていたが錆付いて文字が識別出来なかった。

 西農鳥岳から見ると、農鳥岳に向かって平坦な道が続いているのが見え、直ぐ着きそうに見えたのだが、この行程は距離の割りに時間ががかかった。地図で見る以上に細かい起伏が多く、岩肌の裂け目の毎にアップダウンを繰り返す。早くビールが飲みたくて気がせくが、ここは慎重に進む。起伏の多い鞍部を越えると、いよいよ農鳥岳への最後のアプローチ。傾斜のゆるい片斜面の登山道を登りきると、農鳥岳の頂上に到着した。正面には塩見・荒川・赤石と続く南アルプス主脈が続き、その先には深南部の山々が幾重にも重なっている。右手には身延の山の向こうに富士山。歩いて来た方角を振り返ると、間ノ岳と北岳が仲良く並んでいる。360度の大展望。何時までも留まっていたい、農鳥岳の山頂であった。






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