宮ノ浦岳

 1935m
2000年3月15日〜16日 歩行時間 (1日目) 45分 
       (2日目) 6時間
(1日目)淀川入口→淀川小屋(宿泊)
       14:30    15:15 
(2日目)淀川小屋 →小 花之江河 → 投石平 → 宮之浦岳 → 投石平 → 小花之江河 → 淀川小屋 → 淀川入口
       6:40      7:30〜45     8:30    10:00〜30   11:30   12:00〜15   13:30〜50  14:30
(3日目)荒川口 → 小杉谷 → 大株歩道入口 → 縄文杉 → 大株歩道入口 → 小杉谷 → 荒川口
     6:50     7:45    8:45〜9:00   11:00〜30   13:00〜15      14:15    15:00




(YS11より屋久島を望む。)  



50人は泊まれる淀川小屋



花之江河は道が錯綜していた



投石岳下で初めて展望が開ける。
●洋上アルプス屋久島に降り立つ
 
3月17日(金)、羽田より鹿児島経由で、屋久島に向かう。鹿児島からの飛行機はYS11プロペラ機だ。鹿児島空港を飛び立って約30分、窓に「洋上アルプス」屋久島が見え出した。天を突くピラミダルな頂きは、宮之浦岳であろうか。絶好の天気の中、屋久島に降り立つ。空港で昼食(空港食堂の、飛び魚定食はお薦めです。)を食べた後、レンタカーを借りて淀川入口に向かう。阿房林道は川上杉付近まで舗装されており、走りやすい。途中、林道脇の「紀元杉」を見るが、屋久杉に様々な植物が着生し、一本の杉と云うより、それ自体が一つの森になっているのには驚いた。淀川登山口で装備を固め、淀川小屋へと向かう。途中、凍結した登山道で転倒して、怪我をした人とすれ違い、明日の行程に気を引き締める。淀川小屋はきれいな小屋で、楽に50人は泊まれる広さがり、裏手には水場の沢が流れている。この時期、日没後は冷え込みが厳しく、小屋脇の水溜は20時頃には凍結していた。

●凍結した登山道を花之江河へ
  3月18日(土)。4時半に起床したが、明るくなる気配が無い。緯度が西に位置する為か、東京とに比べて40〜50分日の出が遅い気がする。明るくなり出したのは6時頃だった。手早く朝食を済ませ、6時40分頃に軽装で出発する。晴天は昨日限りの様で、霧の中の登山となった。花之江河までは急登ヶ続く。約50分で小花之江河に到着、一息付く。小花之江河から先は沢筋に登山道が設けられているが、岩肌が凍結していて歩き難い。流れの両脇より、真中の水が流れている部分の方が滑りにくかった。小花之江河から約30分で花之江河へ到着する。

●屋久笹の道を登りつめ、宮之浦岳に登頂

  
花之江河は道が錯綜しており、木道と標識が整備されているが、雨や霧に包まれると迷いやすそうだ。黒味岳の分岐を過ぎる辺りから、軽アイゼンを付ける程では無いが、残雪の上を歩くことが多くなった。投石岩屋の所で登山道は直角に右に折れるが、標識が倒れており分かり難い。視線が下がると、岩屋沿いに進んで、獣道に入ってしまいそうである。岩屋から10分程登ると、投石岳下の見晴らしの良い高台に出た。ここから栗生岳迄は、比較的なだらかなコースとなったが、安房岳から水場への下りは、凍結の為とても歩き難かった。栗生岳への登りにさしかかる頃になると、漸く日が差し始める。森林限界を超えると、石楠花の中を進む様になる。花の時期はさぞかし素晴らしい光景が広がる事だろう。ヤク笹の中を進む最後の登りを登りきり、山頂に立つと、霧の中から正面に永田岳が現れた山頂は風が強く、岩陰でスープを沸かして温まってから、下山を開始する。心配した路面の凍結もほぼ解けており、順調に下山する事が出来た。夜は、淀川入口付近に幕営した。

(前衛峰の栗生岳)

(漸く宮之浦岳の山頂に立った)

(山頂からは永田岳がよく見える。)
●雨の中の軌道歩き
  
3月19日(日)、レンタカーで荒川入口迄移動する。既に大型バスが2台入っており、装備を固めている間にも、もう一台マイクロバスが入って来た。皆、縄文杉を目指すトレッキングツアーの参加者の様である。6時40分、小雨の降る中、軌道沿いのトロ道を歩き始める。軌道上は、枕木に歩幅を規制されて思ったほど歩き易くない。小杉谷を廃村を越えた辺りには、仮説のトイレが並んでおり、縄文杉を目指す人の多さを感じさせる。楠川歩道との合流点からは、軌道の中央に歩行用の板が張られており、随分と歩きやすくなった。大株歩道に入る前に、登山者の大群を抜くべくピッチを上げる。三代杉を越えて間もなく、迂回路の標識が出てくるが、案内版には「高塚小屋方面」としか書かれておらず、縄文杉を目当てに登っている「地図を持っていない入山者」には不案内で、この日も前進を躊躇しているパーティーを見かけた。迂回路には赤テープの標識があり、4〜5分で崩落した先の軌道に出る。荒川口を出発して約2時間、いいかげん軌道歩きに飽きた頃、大株歩道入口に到着した。
  
●こだま達の住む森〜縄文杉へ 
  大株歩道に入ると、そこはもう屋久杉の原生林の世界。苔むした巨木が空を覆い、地表に光が届かないせいか、中低木が少なく、森の中が遠くまで見渡せる。もみやつがの木が着生して、杉の木と言うより一本の木それ自体が一つの森の様相を呈している屋久杉や、苔むした倒木が霧につつまれ、森の精やこだま達の存在を信じたくなる様な、幻想的な光景が広がっていた。そんな道を登ること約2時間。目の前に現れた縄文杉の圧倒的な存在感には、神々しさを感じずにはいられなかった。
  
大株歩道は、今やオーバーユース気味の観があり、「大人数の登山者」から土壌の侵食を最小限に食い止めるため、至る所に木道や階段が設置されているものの、登山に慣れていない入山者には少々厳しい道である様だ。縄文杉周辺には、根元の保護のためデッキが設置されている。縄文杉から50m程先には小さなあずまやがあり、ここで雨を避け昼食を取った。しばしの休息の後、夫婦杉、大王杉、ウイルソン株、翁杉と、ゆっくりと屋久杉を鑑賞しながら登路を引返し下山した。
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